今回は、ドイツに在住しているヤマヒロシさんに、ドイツのバレンタイン事情について書いていただきました。
チョコ以外にもバレンタイン仕様のお寿司もあるみたいで、番外編として紹介してますので是非♪
ドイツのバレンタインチョコレート
まず、ご存知の方も多いかと思いますが、バレンタインはアメリカ発祥の文化で、日本のバレンタイン・ホワイトデーは独自に発達したものです。
アメリカでは確か、2月14日に男女両方からチョコのプレゼントが行われることが多く、カップルに限らず、意中の人に(主に男性ですが)上げることがあり、チョコレートに限らず、花や手紙などもあります。
もちろん、ホワイトデーはありません。一方、日本では意中の人にあげることもありますが、主にカップル、家族、そして職場・友人での義理チョコなどがあり、手作りをする女性の方も多いですね。
では、ドイツのバレンタインはどうかというと、日本とアメリカの中間のようなものです。
2月14日に男女双方がチョコをあげるという点ではアメリカと同じですが、意中の人へのチョコや義理チョコのようなものはなく、基本的にはカップル同士でチョコを交換する文化です。
また、日本のように手作りのチョコレートをあげるということも少なく、ゴディバのような高級チョコレートである必要もありません。
どうやら重要なのは、ハートの形のパッケージや、Ich liebe dich(英語でいうとI love you)などが書かれているようなパッケージで、バレンタイン色を全面に押し出しているチョコレートが対象となります。
そのため、豪華なパッケージの生チョコや高級チョコなどは、バレンタイン用とみなされないようです。
ちょっと現実的な話をしちゃいますと、同じブランドの同じ味・量のチョコレートでも、バレンタイン仕様のパッケージだと倍くらいの値段がします。チョコレート会社が頑張っているのはどこも一緒ですね(笑)
そのため、ドイツのスーパーやデパートでは、ハートの形やカップル向けメッセージが書いてあるチョコレートのコーナーが特設されております。
今回はその中でも、特に目を引かれたバレンタイン用チョコなどを購入してみました。
リンドールのイチゴ味のチョコ
まずは、Lindt(リンツ社)のLindor(リンドール)というブランドのErdbeer-sahne(イチゴクリーム味)のチョコレートを購入してみました。
リンツのチョコレートは、ヨーロッパだとだいたいのスーパーで見かけるくらい有名なブランドです。
本社はスイスにあるのですが、製造拠点は欧州各国にあるため、基本的にはドイツで購入できるものはドイツで製造されております。
最も有名なリンドールというブランドは、キャンディーのような包装にチョコレートが包まれているもので、もしかしたら一度はお土産などで食べたことがあるかもしれませんね。
今回のバレンタイン仕様のチョコレートですが、9.99ユーロ(約1200円)で25個入りのチョコレートです。
パッケージはバレンタインのシンボルの可愛らしいハートの箱です。
個々の包装はリンドールでお馴染みのキャンディー状になっております。
外側がイチゴチョコでしっかりと固めてあり、中身はイチゴ味のする柔らかいクリームになっていました。
さすが有名なブランドだけあって、味はとても美味しく、口の中にイチゴ味がしっかりと残るので、食べた後は幸せになれます(笑)
カエルのチョコ
次に、カエルの形のパッケージのチョコを購入してみました。
え、バレンタインなのに何故カエル?と思われるかもしれませんが、これにはドイツ独特のストーリーがあるのです。
「かえるの王さま」というおとぎ話をご存知でしょうか?
ドイツのおとぎ話と言えば世界的に有名なグリム童話なのですが、ここでピンとくる一部の方を除いて、聞いたことが無い方も多いと思いますので、簡単に要約してみます。
昔、ある王女が井戸に金の玉を落としてしまいましたが、カエルが拾ってくれました。しかし、そのカエルは色々と要望を聞いてもらうことを交換条件に出し、王女は金の玉を受け取ったものの、カエルを冷たくあしらいました。
何度もカエルが要望を王女に出しているうちに、王女はついにカエルを壁に投げつけました。するとカエルの姿が王子に変わり、ふたりは幸せに結ばれました、というお話です。
私がこの話を初めて聞いた時には、あまりバレンタインとか愛とか関係無いどころか、若干ストーキング気味のカエルの話では無いかと思ってしまいましたが(笑)、実はこの後に続きがあるのです。
原作のグリム童話から長い時を経て、王女がカエルを壁に投げつけるという(ちょっと残酷な)設定から、王女がカエルにキスをして王子の姿に戻る設定のおとぎ話に派生し、
さらには、2009年(日本では2010年)にディズニーがこのグリム童話をベースとしたThe Princess and the Frog(邦題:プリンセスと魔法のキス)という映画を制作したため、たちまちカエルと王女の愛のストーリーが有名になったのです。
長くなりましたが、ドイツのバレンタインでのカエルは、グリム童話やディズニーで見られるの愛とキスの象徴なのです。
そして、今回のチョコレートは前述のリンツ社によるFroschkönig(カエルの王様)というチョコレートです。
価格は3.5ユーロ(約420円)で、2つのハートのチョコレート、2つの丸いチョコレート、1つのカエルのチョコレートがカエルの缶に入っていました。
ハートとカエルはわかるけど、この丸いのは何か関係あるの?と思われるかもしれませんが、実はこれは先程のグリム童話に出てきた、王女が井戸に落とした金の玉なのです。
気になる味ですが、ハートと丸い玉はミルクチョコ味でした。
一方で、カエルは中が二層になっており、外側がチョコで内側がキャラメル味とヘーゼルナッツの中間のような味でした。また、チョコレートの表面をよく見るとLindtと書いてありますね。
このチョコは味を楽しむというよりも、パッケージや包装に込められたストーリーを楽しむためのものかもしれませんね。
なお、カエルの商品は他にもあり、例えばリンツ社より15cm程度のカエルの像のチョコレートなどもありました。
キンダーチョコ
続いて、Kinder Chocoloateを購入してみました。
Kinder Chocolateは『キンダーチョコレート』と読み、意味は子供用チョコなのですが、大人も楽しめるキンダーチョコとしてのブランドが確立されています。
ドイツのスーパーではほぼ100%あると言っても過言でない位有名で、こちらもリンツのチョコレートと同じ位有名なものです。
特に一個一個が包装されており、安価なものの味もしっかりしているので、配布用のドイツのお土産にピッタリなチョコレートです。
今回のバレンタイン仕様のキンダーチョコがこちらです。チョコレート10個入りで2.39ユーロ(約300円)のパッケージを購入しました。
ちょっと待って、これ普通のキンダーチョコと同じパッケージじゃん!?キンダーチョコって検索すればネットに出てくるものと同じで、全然バレンタインっぽく無いよ!と思うかもしれません。
実際に私も最初そう思いました(笑)
パッケージからは一見わかりにくいのですが、実はスーパーの看板に大きな広告があり、キンダーチョコを買ってラブレターを送ろうみたいなキャンペーンがあったのです。
一見普通のパッケージですが、今回のバレンタイン版のチョコレートは、愛する人へのメッセージを送れる仕様になっているのです。
具体的には、箱の内側にはシリアルコードが記載されており、インターネット上に住所や名前などを入力すると、その住所宛にラブレターを送れるようになっているのです。
しかも、2本のキンダーチョコ入りの箱です!なんだか21世紀版のラブレターみたいで、なんともロマンチックな仕様ですね。
ちなみに、キンダーチョコという名前から子供向けのイメージがあったり、ラブレターの淡いイメージがあったりする一方で、このサービスは18歳以上が対象となっておりました。また、宛先はドイツ国内限定です。
そして気になるチョコレートのお味ですが、ミルクチョコレートで、やや甘めの味です。
外側がチョコで、内側にミルク味となっております。ちなみに、チョコレートそのものは普通のパッケージのキンダーチョコと全く同じです。
ハリボーグミ
最後にHaribo(ハリボーグミ)を購入してみました。Hariboといえば、ドイツで最も有名なお土産用のお菓子で、世界最大のグミの製造会社です。
クマの形をしたグミを食べたことがある、という経験がある方は、おそらくHariboです。
Hariboには様々な味があり、レモン味、オレンジ味からコーラ味、ミックスした商品が販売されております。
あまりにもお土産としての人気が高いので、スーパーでなくとも、キオスクやお土産でも販売されております。また、ほとんどのHariboが普通のプラスティックの袋で梱包されています。
ただし、日本のグミと比べて若干硬めな気がしますのでご注意下さい。
今回はバレンタイン仕様のHariboを偶然発見しましたので、ピックアップさせて頂きました。
もちろん、グミの製造会社ですので、チョコレートではなく、グミです。
冒頭にも記載しましたが、グミとバレンタインに関連性がある訳ではなく、ドイツではパッケージが重要なのです。
パッケージはかなり大きめのハートになっており、今回はFür Dich (英語でいうとFor you、あなたへという意味)というカップル向けのものを買ってみました。
他にもVon Herzen(From heart、心を込めてという意味)や、Alles Liebe(All love,全ての愛をという意味)というパッケージもありましたので、送る相手によって選べるようになっているみたいです。
価格は3.19ユーロ(約385円)で、おそらく40個程度のハートのグミがあります。また、8つの種類のグミがあります。
色は赤、ピンク、オレンジ、紫ですが、全てが同一色のグミと、下半分が白になっているグミがあります。
味が記載されていないので、個人の判断になってしまいますが、赤はリンゴ味、ピンクはさくらんぼ味、オレンジはオレンジ味、紫はグレープ味だと思います。また、白い部分はマシュマロです。
味や食感自体は、普通のHariboのグミと同じで、やや控えめの味と少し噛みごたえのあるグミです。
だだ、マシュマロ味とセットになって8種類のグミが味わえるのはこの商品だけだと思います。
個人的にはマシュマロとグミの相性がとても良く、マシュマロが付いている方から先に食べてしまいました。
番外編:バレンタイン用の寿司
最後に、バレンタインのスイーツや贈り物とは関係ありませんが、スーパーでバレンタイン用の寿司を発見し、ついつい衝動買いしてしまったので、紹介させて頂きます。
まず、バレンタインと寿司の関連性は、ドイツの文化とは全く関係ありません(笑)ただし、日本食=健康というイメージと、(やや無理矢理な)ハート型のパッケージとして、バレンタイン用の寿司が売られていました。
確かに健康的な食べ物をバレンタインの日に食べるのも心が篭っているのでしょうね。
もちろん、ドイツには日本人による寿司屋が沢山あり、様々な種類の魚は入手可能ですが、今回の寿司はスーパーでのバレンタイン用ということで、万人受けのする寿司だと思って下さい。
価格は6.5ユーロ(約786円)で、計細巻き、握り寿司、裏巻き寿司がありました。ちなみに、海外では海苔を苦手とする人が多いせいか、裏巻きが結構多いです。
また、Wakameというブランドが書かれていましたが、わかめは一切入っていません(笑)
また、寿司の種類ですが、細巻きや裏巻きにはきゅうりとツナをベースとしており、握り寿司にはエビとサーモンがありました。日本とは異なりイカやイクラなどは万人受けしないようです。
裏巻きの一つに白いクリームのようなものがあったので、マヨネーズかなと思ったのですが、チーズでした。
うまく説明できませんが、ドイツ独特のチーズだったので、ドイツで発展した独自の寿司ですね。意外にもチーズの濃い味が寿司と合っていました。
また、ワサビと醤油とショウガもしっかり付いています。ワサビは葉っぱの形にデコレーションしてありますね。
醤油は日本でもよく見る魚の小さい容器に入っていました。ショウガは一つしか入っておりませんでしたが、ドイツ人でもショウガを好んで食べる人はよくいます。
全体的な味は、ドイツの日本食レストランの寿司にはかないませんが、スーパーで購入できる寿司としてはそこそこの美味しさでした。
以上、ドイツでのバレンタインの特集でした。ドイツでは、普段と異なる味や質のチョコレートというよりも、ハートマークのパッケージやメッセージなどが重要なんですね。